第三章 ペーターの手記

 私は市民合唱団の指揮をやっている。まとめることが一苦労だ。テノール・バス・ソプラノ・アルトにわかれるのだが個性が強い。少しのディティールにこだわるタイプなので遅々として進むことができない。愚痴になってしまうな。統合失調症を患っているのでハンスと同じく論理的思考に弱い。芸術の大学にすすんだのは「君は直観がすぐれているね」とハンスに助言をうけたためだ。

 

 私はベートーヴェンを敬愛している。彼のおひざ元に留学したこともある。天才肌があるとすればそれは努力肌が継続してなるものであると信じている。私は聖書をよく読む。とくに旧約聖書の『ヨブ記』と『ルカによる福音書』を何度も繰り返し繰り返しよんでいる。

 

 詩を書くときは大抵手書きだ。