第四章 マルガリーテの手記

 私は希死念慮に苦しめられている。その希死念慮をやわらいでくれる曲を夫は書いてくれる。私がその曲たちを弾くと魂が安らぐ。チェンバロとピアノを弾くことができるのは私だけで夫は弾くことができない。完璧主義の夫の音符たちは私にとって壁だが、編曲をすることができるので上手く弾くことができるときもある。私は小説を書いている。小説家でもある。月に一度、市民講座の「小説を書こう講座」で小説を書くための教師をやっている。

 

 小説を書くことは誰にでもそうかもしれないが苦しみである。産みの苦しみを経なければ「書く」ということはできないだろう。

 

 私は合唱団にはいっておりベートーヴェンの「ミサ・ソレニムス」を歌っていた。眠るときはハンスの書いた曲とともに聴きながら寝ている。睡眠学習というやつだ。なかなかねむることができないので『睡眠日記』をつけている。

<終>